ECM 1904 Bobo Stensen ‘Goodbye’ (2005)

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ECM 1904 Bobo Stensen ‘Goodbye’
・Review
スウェーデン生まれのジャズピアニスト、Bobo Stensen (ボボ・ステンソン)の作品。

私は音楽を語る言葉を知らない。だが伝えたい。このアルバムで奏でられている音楽は素晴らしい、と。

特に1曲名 「Send in the clowns」

これは一体なんという名前の音楽なのだろうか。悲しい、楽しいといった価値判断を許さない、河のようにゆったりと過ぎゆく、この世界とは分かれた、一つの時間の流れだ。

ピアノとベースとトラムが、互いにつぶやきあい、
そこには明確な会話があるようで、それでいてないようで、音が絶えることなく漂い、構成され、一つの美しい音として成立していく。

・Video

Bobo Stenson Goodbye

・Catalogue
ECM 1904 Bobo Stensen ‘Goodbye’ 

・Track list
1.Send In the Clowns
2.Rowan
3.Alfonsina
4.There Comes a Time
5.Song About Earth
6.Seli
7.Goodbye
8.Music for a While
9.Allegretto Rubato
10.Jack of Clubs
11.Sudan
12.Queer Street
13.Triple Play
14.Race Face

・Personnel
Bobo Stenson : piano
Anders Jormin : bass
Paul Motian : drums

・Bobo Stenson Official site
http://www.bobostenson.com

ECM 2178 Nik Bartsch’s Ronin ‘Llyrìa’(2010)

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ECM 2178 Nik Bartsch’s Ronin ‘Llyrìa’

・Review
スイスのピアニスト/作曲家、ニック・ベルチュ。

いくつもの糸がある意匠へ向けて、織りなすその過程。
様々な太さ、強度そして色彩を携えた音が絡まり、混然となって進む。
小刻みに、あるいは雄大に。

絵のようなものかもしれない。
近寄ればテクニカルでスリリング。近視眼的聴覚に誘い込む罠が至る所に張り巡らされている。
しかし、一歩の下がって遠巻きに眺めれば、見事なまで作りこまれた1つの絵であることが
理解できる、といった類。

特筆すべきはmodul48.美しさが危うさの上で綱渡り。
「居心地の悪さを通り越して居心地よい」が成立している。

異なるリズムを用いた音楽的なアプローチ。
混沌と調和を伴って、ひとつの楽曲を作り上げるスタイル。

音楽には、こんなことが可能なのか、と思わされる。

新次元。

・Live

「live at Sofia Live Club, 19.05.2010」

・Catalogue
ECM 2178 Nik Bartsch’s Ronin ‘Llyrìa’

・Track list
1.Modul 48
2.Modul 52
3.Modul 55
4.Modul 47
5.Modul 53
6.Modul 51
7.Modul 49_44

・Credit
Nik Bartsch : piano
Sha : bass clarinet, alto saxophone
Björn Meyer : bass
Kaspar Rast : drums
Andi Pupato : percussion

ECM 1939 Nik Bärtsch’s Ronin ‘Stoa’ (2006)

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Nik Bärtsch’s Ronin ‘Stoa’

・Review
スイス、チューリッヒ出身のピアニストNik Bärtsch(ニック・ベルチュ)。

幼い頃からピアノとパーカッションを学び、チューリッヒ大学では音楽と合わせて哲学を勉強していたようだ。音楽的なキーワードが上記キャリアより如実に感じる。

まずはピアニストとしては若干異形なリズムへのこだわり。
変拍子を含んだミニマリズム的なプロダクションが非常に心地よいのだ。

そして構成における抑制の効いた反復。知的かつスリリングな演奏。
彼の思考の回路がそのまま音になったかのような。本人に曰く「禅ファンク」らしい。
このアルバムをキッカケとして、Nik Bärtschにはまり込んだ人も多いはず。

私もその一人だ。

・Live

Nik Bartsch’s Ronin (STOA) – Modul

・Catalogue
ECM 1939 Nik Bärtsch’s Ronin ‘Stoa’ 

・Track list
1.Modul 36
2.Modul 35
3.Modul 32
4.Modul 33
5.Modul 38_17

・Credit
Nik Bartsch : Piano
Sha : Bass Clarinet, Contrabass Clarinet
Björn Meyer : Bass
Kaspar Rast : Drums
Andi Pupate : Percussion

 

ECM 1591 Arvo Pärt ‘ALINA’ (1995)

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ECM 1591 Arvo Pärt ‘ALINA’
・Review
Arvo Pärt (アルヴォ•ペルト)。エストニアの作曲家。

静かな静かな透き通った音の粒と持続音。

祈りのような音楽。

「癒される」そんな薄っぺらな反応で片付けてほしくないといえば、私の我儘だろうか。

ここにあるのは、ある態度。
音楽そのものに対するストイックとも言える愛。

それがただただ時間軸を満たしていく。

・Listening

Arvo Pärt – ALINA

・Catalogue
ECM 1591 Arvo Pärt ‘ALINA’

・Track list
1. Spiegel Im Spiegel – 1. Spiegel Im Spiegel
2. Pärt: Für Alina – 1. Für Alina
3. Spiegel Im Spiegel – 2. Spiegel Im Spiegel
4. Pärt: Für Alina – 2. Für Alina-
5. Spiegel Im Spiegel – 3. Spiegel Im Spiegel

・Credit
Alexander Malter : Piano
Vladimir Spivakov : Violin
Dietmar Schalke : cello
Sergej Bezrodny : Piano

・Arvo Pärt Official site
http://www.arvopart.ee/en/

ECM 1275 Arvo Pärt ‎’Tabula Rasa’(1984)

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ECM 1275 Arvo Pärt ‎’Tabula Rasa’
・Review
ただただ素晴らしい。

静謐な音楽を奏でるエストニアの作曲家である
Arvo Pärt (アルヴォ•ペルト)。

Cantus In Memory Of Benjamin Britten における空間がねじれる感覚に襲われる。退廃的な美、と言ったら修辞が過ぎるだろうか。ただ思い出すのは誰だったか、この言葉。

「哀しみは疾走する。涙は追いつけない」

強いて言うならば、ことさら追いつく必要などないのだ。ただ身を任せ、この音に浸っていたい。

この美しく静かな旋律に。

・Live

Arvo Pärt Cantus in memoriam Benjamin Britten – Proms 2010

・Catalogue
ECM 1275 Arvo Pärt ‎/ Tabula Rasa(1984)

・Track list
1.Fratres
2.Cantus In Memory Of Benjamin Britten
3.FratresCello – The 12 Cellists Of The Berlin Philharmonic Orchestra
4.Tabula Rasa

・Credit
Gideon Kremer : Violin
Keith Jarrett : Piano
Tatiana Grindenko : Violin
Staatsorchester Stuttgart
Dennis Russell Davies : Conductor
The 12 Cellists of the Berlin Philharmonic Orchestra
Alfred Schnittke : Prepared Piano
Lithuanian Chamber Orchestra
Saulius Sondeckis   Conductor

ECM 1064/65 Keith Jarrett ‘Köln Concert’(1975)

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ECM 1064/65 Keith Jarrett ‘Köln Concert’(Nov 1975)

・Review
キース・ジャレット 「ケルン・コンサート」

タイトル通り1975年、ドイツ、ケルンで録音されたライブ音源。
1972年の夏からスタートした完全即興によるソロ・コンサートの記録。

行先も知らず、ひたすら紡がれる自由な音の粒がこれでもかというほどに、ほとばしる。
時に透明感あふれ、時に情熱的であり、時に憂いを、時に躍動を感じさせる。
様々なものを内包しながら走り抜ける旋律。

この音源に出会えたことに感謝したい。

完璧でありながら、未完。
洗練されていながら、荒削り。

これぞ「今、この瞬間、ここにいること」を捉えた作品。
もしまだ間に合うのであれば、いつか彼の演奏を生で味わってみたい。

・listening

Keith Jarrett – THE KÖLN CONCERT – complete

・Catalogue
ECM 1064/65 Keith Jarrett ‘Köln Concert’ (Nov 1975)

・Track list
1.Köln, January 24, 1975, Pt. I (Live At The Opera, Köln / 1975)
2.Köln, January 24, 1975, Pt. II A (Live At The Opera, Köln / 1975)
3.Köln, January 24, 1975, Pt. II B (Live At The Opera, Köln / 1975)
4.Köln, January 24, 1975, Pt. II C (Live At The Opera, Köln / 1975)

・Credit
Keith Jarrett : Piano

ECM Records

最近、ECM Recordsの音楽を一枚一枚聴き直し始めた。

出会いは10代頃だから、随分と長い付き合いだ。
聴くときと聴かないときの波があって今回は少し遠ざかっていた。

改めて聴き直してみようと思ったのは、きっと静けさが必要だったのだと思う。
聴き始めて、気づく。

うっかり通り過ぎてしまった曲達との出会い。
あるいは改めてその曲の良さに気づく再発見。

それらはせわしい仕事を終え、へとへとに疲れた体と脳みそにとっての、
ささやかではあるが、確かに満たされる数少ない楽しみとなった。
さしあたっては約150枚の聴き直しだ。

「これはまるで旅に出るようなものだ。」

9月からサラリと始めたその道すがら、そんなことを思っている。
初めて訪れる場所では無いけれど、時間の経過とともに、変化する互いの再発見に満ちた旅。

楽しくないわけがない。

現実は何も変わらないけれど、日々の、ちょっとした、ささやかな「救い」がここにはある。
たとえそう感じることが幻想だとわかりつつも、音楽の持つ力の偉大さを思う。
生きることには、時にそういう慰めが必要な気がするから。

その意味では、音楽はどこか、泡沫の夢のようなものなのかも知れない。