ECM RecordsをECM Records たらしめるものはなにか。この問いの答えははっきりしている。
1963年にECM Recordsを立ち上げた創業者であり、リリースされた音源の多くをプロデュースしているManfred Eicher (マンフレート・アイヒャー)、その人である。
影響力の大きいレーベルでありながら、その実、その方向性、音楽的クオリティは全てManfred Eicher (マンフレート・アイヒャー)によりコントロールされている。
まず入り口として、彼が気に入った音しか、リリースされていないのがECM Recordsである。つまりリスナーは彼の耳を通じて音楽を聴いているのだ。
つまりECM RecordsのファンはManfred Eicher (マンフレート・アイヒャー)の審美的判断に、賛同している人達ということができると思う。
言い換えれば、Manfred Eicher (マンフレート・アイヒャー)の耳を信頼できる人がECM Recordsの音源を聴いているといっていい。
そういうレーベルなのだ、ECM Recordsは。 諸々のテキストを読み込んでいると、あるいはそのプロデュース観を読み解くと、そういう結論にたどり着く。
1人の個人がなしうる最高の形としての音楽的セレクトショップ。それがECM Recordsの形。
しかし音楽は続くが故に1つの疑問が頭によぎる。Manfred Eicher (マンフレート・アイヒャー)が、いなくなったとしたら、ECM Recordsは一体どこへ向かって行くのだろうか。