
・Review
なんとも素晴らしい音楽が生み出されていたものだ。非常に面白い構成のトリオ。
1曲目Part Iでは、しっかりとローを支え、歌心のあるベースと、その上に絡むサックスと声のユニゾン、そしえバックにシンセが浮遊する構造。これが心地よい。ジャズと室内楽が融合したかのような斬新な楽曲とその響きが提示される。
3曲目のPart IIIでは混沌が待ち受ける。おそらくベースをチェロのように扱っているのだろうか、ノイズのような減衰する持続音が中心に扱われ、4曲目Part4ではその混沌が、サックスのメロディ、と声によって回収される。
5曲目のPart5はベースが細かく刻み、時にブレイクを作る形で空間を閉じたり開いたりする。一方でサックスは自由に吹くという、とても複雑な曲。
6曲目Part VIは、これまでの曲の総括のような形で、とても美しい曲となっている。サックスには薄くディレイがかかり、伸びやかさが増して聴こえる。中盤、サックスと声が数回入れ替わり、曲の雰囲気が一変する。最後にベースと声がユニゾンする。付かず離れずのバランスで。
音楽はいかに自由か、が問われていると思っている。裾野は無限に広く、可能性に満ち溢れている。そう思わせてくれる素晴らしい音源だと思う。
・Catalogue
ECM 1149 Barre Phillips ‘Journal Violone II’ (1980)
・Track list
1.Part I
2.Part II
3.Part III
4.Part IV
5.Part V (to Aquirax Aida)
6.Part VI
・Personnel
Barre Phillips Bass
John Surman Soprano Saxophone, Baritone Saxophone, Bass Clarinet, Synthesizer
Aina Kemanis Voice
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