
・Review
改めて声とは楽器の一つである、と感じ入る。意味が剥奪された日本人としての反応だと思う。そこに歴史的背景を読み取る力がなければ、尚更、声は楽器になる。
歴史的作曲家であるグレツキ、サティ、ミヨー、そして現代に生きるブライヤーズの楽曲達。安らかな不安定さ。というブライヤーズの発言を思い出す。その安らかさは明らかにSarah Leonardによってもたらされている。純然たる音、そしてメロディとして。
ただその音に浸れる私としては、産みの苦しみを持つ作曲家達に比べて、呑気に見えるだろう。一つ思うところは、リスナーが音楽的快楽を享受することを、作曲家達もまたその背景とは別に喜びに感じてくれることを祈るばかりだ。
こうした思いを喚起させてくれるECM Records (ECMレコード)に深く感謝したい。これは音楽以上の一つの良質な体験の提供であるもあるから。
グレツキのインタビューでの発言を一部引用する。
(ソース:Time, Independent,The Times, Sunday Times誌)
私の国と、またドイツ人かロシア人の支配下で暮らした大部分の人々にとって、辛い困難な時代が続いた。自由など全くなかった。ポーランドにおける芸術は単に芸術を生み出すのではなく体験を吐き出すものである。主として、それは苦痛の体験である。
関心を頂いている20世紀作曲家は?
バルトーク、エルガーとメシアン
宗教について
バッハは彼の曲が神への奉仕において存在していると言いました。私にはそこまで言い切るつもりはありませんが、皆さんが私の曲をお聴きになって、神への奉仕だと思われるとしたら、私は幸せです。
・Track list
1.O DOMINA NOSTRA OP. 55(Henryk Górecki)
2.MESSE DES PAUVRES (1895)(Erik Satie)
3.PRÉLUDE I (1942)(Darius Milhaud)
4.PRÉLUDE II (1942)(Darius Milhaud)
5.THE BLACK RIVER (1991)(Gavin Bryars)
・Credit
Sarah Leonard Soprano
Christopher Bowers-Broadbent Organ
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