ECM 2518 Dominic Miller ‘Silent Light’ (2017)

ECM 2518 Dominic Miller 'Silent Light' (2017)
ECM 2518 Dominic Miller ‘Silent Light’ (2017)

・Review
1960年生まれ、アルゼンチン出身のギタリストDominic MillerのECM Records(ECM レコード)デビューアルバム。

緊張感のあるフレーズから始まる。

ECM Records (ECM レコード)の音源は再生してから数秒の無音となる。この時間を意味あるものにする音の始まりが本作。コードが進行するに従い、温かいニュアンスが感じられてくる。そこに少しの泣きが込められていたりする。リズムの抜き差しから、ボッサが自然な流れで顔を出す。そこからはもう彼らの時間だ。

この音楽を聴いていると流れているのはもはや私の時間ではない。彼らの時間が再び流れているのだ。そんな思いに駆られてしまうほど、彼らの世界に引き込まれてしまう。

2曲目はテンポの速い、三拍子のやや細かいアルベジオ。一筋縄ではいかないコード感が、聴く者をその場に強いる。

3曲目は、生き物のように自由で、疾走感のある曲。パーカッションの曲への関わり方が、曲の繊細さを引き立てている。

4曲目は、一転してパーカッションを全面に押し出し、隙間を作ったギタープレイ。温かみすら感じる。

5曲目はとても爽やかな曲。

6曲目は優しく透き通ったギターを聴くことができる。もうアルバムは中盤を迎えていることが示唆的だ。

7曲目は、パーカッションではなく、ドラム。心地よいリズム。途中に変化球が入るがシンプルな構造を持った曲。

8曲目は、すごく映画的な音楽。聴いた人は、各々にそれぞれの人生のシーンを思い描くだろう。

9曲目は、テンポと、ギターとパーカッションの一体感が気持ちいい。

10曲目はどこか過ぎ行く日々を思わせる。このちょっとした悲しさは一体どこからくるのだろう。

11曲目は最後の曲。どこから終わりたくない気持ちがありながらも終わらなければならないニュアンスを感じさせる曲。

ああ、終わってしまうのか。

初めの印象と異なり、アルバム全体を聴き終えると、確かにそこには私の充実した時間がすぎていることに気づく。

まるで優しい風が通り過ぎていったかのようだ。

なお、アルバムのタイトルはメキシコの映画監督カルロス・レガーダスの作品からとったものだという。

最後に私にとって意外だったコメントを一部抜粋させて頂く。(この文章がミスリードにならないことを祈る。)

「尽きることのない私の音楽的教育の中で常に存在してきた人物が1人だけいる。J.S.バッハだ。私が唯一練習する音楽でもある。」

・Video

・Catalogue
ECM 2518 Dominic Miller ‘Silent Light’ (2017)

・Track list
1.WHAT YOU DIDN’T SAY(Dominic Miller)
2.URBAN WALTZ(Dominic Miller)
3.WATER(Dominic Miller)
4.BADEN(Dominic Miller)
5.EN PASSANT(Dominic Miller)
6.ANGEL(Dominic Miller)
7.CHAOS THEORY(Dominic Miller)
8.FIELDS OF GOLD(Gordon Mathew Sumner)
9.TISANE(Dominic Miller)
10.VALIUM(Dominic Miller)
11.LE PONT(Dominic Miller)

・Credit
Dominic Miller Guitar, Electric Bass
Miles Bould Drums, Percussion

・Official site
Dominic Miller http://dominicmiller.com

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