
・Review
Tord Gustavsen (トルド・グスタフセン)によるカルテット。トリオの時とは、ベースがHarald JohnsenからMats Eilertsenへと変更。そしてテナーサックスとしてTore Brunborgが加わっている。
Prelude、ドラム無しで始まる序曲からグスタフセン節。
Communion、不穏さが強調されたTord Gustavsenとしては斬新なアプローチ。色としては喚起されるのは黒。しかしそこに、テナーサックスが加わることによってまばゆい光が添えられる。
Circlingはグスタフセン特有の中東的メロディを微かに携えた哀愁の籠った曲であり、こうした曲調は他のアルバムでも各所に感じ取ることができる。一つの個性だ。
On Every Cornerではテナーを起点にして階段を上るように、音色とともに美しく展開されていく。
中盤に添えられた曲だが個人的にはハイライトのひとつ。
Intuitionは花のような可憐さを持った曲。
テナーサックスが見事に生きている。
アルバム全体としてテナーサックスが入っていることで、ピアノの表現を抑え、カルテットとしての表現に徹したイメージ。ベースが少しシンプルなアプローチとなっていることも同様の理由ではなかろうか。
トリオのストイックさ、カルテットの実験的試み、そんな棲み分けを感じる。今回のアルバムが、今後のトリオにどう還元されていくか、とても楽しみだ。
・Video
Tord Gustavsen Quartet – The Well
・Catalogue
ECM 2237 Tord Gustavsen Quartet ‘The Well’ (2012)
・Track list
1.Prelude
2.Playing
3.Suite
4.Communion
5.Circling
6.Glasgow Intro
7.On Every Corner
8.The Well
9.Communion, Var.
10.Intuition
11.Inside
・Personnel
Tord Gustavsen : Piano
Tore Brunborg : Tenor Saxophone
Mats Eilertsen : Double Bass
Jarle Vespestad : Drums
・Official site
http://www.tordg.no/trio/
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