
・Review
1932年生まれ、カナダ出身のピアニスト、Paul Bley (ポール・ブレイ)。
Closerの解体
Ida Lupinoの美しさ
Startedの時間コントロール
Open, To Loveの計算された余韻
Harlemの踊るような音
Sevenの物語性と遊び心
Nothing Ever Was, Anywayの高次の即興性
非常に挑戦的な作品。音楽はいかに自由であるかの戦いである、とでもいうような奔放であり、それを表現しきる卓越した技術の集積であり、白いカンバスに、無造作に描かれたかのような気ままな作品でもある。
これは常軌を逸している。ここにわかりやすさは無い。だから理解に時間がかかるだろうし、かつてプレイヤーだった者だけにわかる奥行きがここにはある。というと少し排他的かもしれない。けれどもこれは傑作だ。もしこれがわかれば、ようこそ、こちらの世界へ、と言いたいのは、私だけではないはずだ。
その意味では、こちらとあちらという、一つの線を引いてしまった作品。誰でも容易にたどり着ける類の音楽では無い。
解るのに数年を費やした。だからどうした、ということではない。わからなくても聴き続けることで、開ける地平があることを教えてくれた作品。
現代では、古典的とも言える音楽の楽しみ方の一つだと思う。
そうか、これはもはや古典なのだ。
・Catalogue
ECM 1023 Paul Bley ‘Open, To Love’
・Track list
1.Closer
2.Ida Lupino
3.Started
4.Open, To Love
5.Harlem
6.Seven
7.Nothing Ever Was, Anyway
・Personnel
Paul Bley : Piano
・Official site
Paul Bley http://www.improvart.com/bley/
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