最近、ECM Recordsの音楽を一枚一枚聴き直し始めた。
出会いは10代頃だから、随分と長い付き合いだ。
聴くときと聴かないときの波があって今回は少し遠ざかっていた。
改めて聴き直してみようと思ったのは、きっと静けさが必要だったのだと思う。
聴き始めて、気づく。
うっかり通り過ぎてしまった曲達との出会い。
あるいは改めてその曲の良さに気づく再発見。
それらはせわしい仕事を終え、へとへとに疲れた体と脳みそにとっての、
ささやかではあるが、確かに満たされる数少ない楽しみとなった。
さしあたっては約150枚の聴き直しだ。
「これはまるで旅に出るようなものだ。」
9月からサラリと始めたその道すがら、そんなことを思っている。
初めて訪れる場所では無いけれど、時間の経過とともに、変化する互いの再発見に満ちた旅。
楽しくないわけがない。
現実は何も変わらないけれど、日々の、ちょっとした、ささやかな「救い」がここにはある。
たとえそう感じることが幻想だとわかりつつも、音楽の持つ力の偉大さを思う。
生きることには、時にそういう慰めが必要な気がするから。
その意味では、音楽はどこか、泡沫の夢のようなものなのかも知れない。
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